思索の旅へ。魅惑的な芸術作品が満ち溢れたエスポー近代美術館。

北欧 フィンランドからの手紙

先日はエスポー近代美術館(通称EMMA)へ話題のエキシビションを観に行きました。エスポー市はヘルシンキ市に隣接した、フィンランドで2番目の人口を誇る地区です。この美術館へはヘルシンキ中央駅からはメトロで約20分ほどで着くそう。わたしたちは車で行きました。話題のエキシビションとは、日本人の芸術家が長さ350kmの赤い紐で作ったという「Tracing Boundaries」です。

大阪府でベルリン在住の塩田千春氏によるこのアートは美術館の白い壁からまるで有機物のように現出し、ドアや天井を覆いながら私たちがまだ訪れたことのないような世界にいざないます。これは迷宮でしょうか、それとも体内をめぐる血流でしょうか、はたまた私たちは知らぬ間に「向こうの世界」に足を踏み入れてしまったのでしょうか?答えは誰にも分かりません。アーティスト自身も解釈を鑑賞者それぞれに委ねています。

もう一つ、印象的だったエキシビションはエストニアのモダニズムのパイオニア、Konrad Mägiの絵画です。オーランド、ロシア、フィンランド、フランス、ドイツ、ノルウェーと様々な国や都市で学び、活躍した画家の描くランドスケープやポートレートなど150点を展示するこのエキシビションでは、画家自身のスタイルの変遷をたどりつつ、ユニークな色使いや筆さばきなど息をするのも忘れてしまうほど美しく力強い表現を鑑賞することができます。

フィンランドをはじめ、世界のアーティストによる現代美術作品が楽しめるエスポー近代美術館。初めて訪れましたが、広々とした館内に絵画や陶芸の体験スペースもあり、芸術教育にも力を入れていることがはっきりと分かる未来を見据えた美術館でした。窓から見る森がまた、フィンランドのアイデンティティをまざまざと示しています。

美術館の最寄りの駅・Tapiola駅には最近大きなショッピングセンターもできたばかり。これからますます発展が続くエスポー市です。

文 : 吉田 みのり

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