今年のクリスマスのプレゼント

北欧 フィンランドからの手紙

今年のクリスマスプレゼントには夫からヴィヴィアン・メイヤーの写真集をプレゼントしてもらいました。40年間、乳母や家政婦として生計を立てながら誰にも知られることなく路上で写真を撮り続けたヴィヴィアン・メイヤー。死後、部屋から見つかった膨大なネガや現像写真から、彼女の才能は世界に知れ渡りました。

ヴィヴィアン・メイヤーの写真展をフィンランド写真美術館で観たのはコロナ禍が始まる直前の2020年のことでした。暖かな視点と遊び心で映し出された当時のアメリカの路上や街並みに魅了され、数年経っても印象に残っていてよく話していたので、夫が写真集を手配してくれていたのでした。

ヴィヴィアン・メイアーの写真の多くは鏡の中に自分の姿を入れ込んだり、自分の影をあえて写す手法を取っていて、壁や床に消えゆくような自分の姿を写したフランチェスカ・ウッドマンの写真や、2010年に訪れた三島美術館で開催されていた、ジェフリー・バッチェンがキュレーターを務めた「時の宙づり―生と死のあわいで」展のヴァナキュラー写真研究を彷彿とさせます。胸が締め付けられるようなセンチメンタルな写真を通して語る彼女の言葉は、静かで大胆。

また、一生大切にしたい写真集が増えました。

文 : 吉田 みのり

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