本場イタリアの料理が楽しめるVallilaの隠れ家「Daily Dose」

北欧 フィンランドからの手紙

イタリアとフランス旅行からヘルシンキに帰って来て、いわゆる舌が肥えた状態で「あの店に行きたいな」と思った場所は実はわずかでした。その中でもイタリアくらいに美味しいイタリア料理が食べられるのがヘルシンキのVallilaにある「Daily Dose」です。

イタリアはリミニ出身のカリスマ性抜群の友達想いの変わり者ウェルテルと、わたしのかつてのボスで今は友達の、心優しいエクアドル人のパトリシオが始めたレストランですが、レストランというよりは「オステリア」的なお店で、カジュアルに利用できるので外での飲食は緊張するという人にもぴったりのお店です。実は2020年のはじめから約2年間ほどマーケティングを頼まれていたため、ここの良さを宣伝するのが仕事でしたが、わたしたち自身のお店の方が忙しくなったので最近円満退職し、ようやくいち個人としてこのお店の素晴らしさを伝えられる日がきました!

かれこれこの2年間に何回足を運んだかわかりません。一昨年から去年にかけてはポップアップレストランをさせてもらったり、コロナ禍で夫が一時解雇になった時は手作り豆腐やキムチ、包子を作ってここで売らせてもらったりもしました。友達想いの彼らが作るレストランは正直で一切の手抜きを見せない正真正銘の美味しいイタリア料理とイタリアンワインが自慢の店です。フィンランドのイタリアンレストランは食への関心が低く許容範囲が狭い現地の人に向けてローカライズしているところも多く、「イタリアっぽくない要素」があったり、「イタリアっぽさはちゃんとあるけど必要以上に高い」という傾向がありがちなのですが、こちらはDOPの製品をしっかり使って、値段も良心的なのが特徴です。ランチも営業していますが、わたしたちが好きなのは断然ディナータイムです。

わたしたちがいつも注文するのはGuanciale e balsamico 30 anni(グアンチャーレとモデナ産の30年もののバルサミコ酢)、Gamberi piccanti(ピリ辛の海老とパプリカ)、それにブッラータやアリチ・マリナタ、クラテッロなども追加して、アンティパストを心ゆくまで楽しみます。

特にこのグアンチャーレは、ヘルシンキで一番美味しいのではと言えるほど美味しいです。豚肉のほほ肉のグアンチャーレはそのままでも甘くてみっちり滋養が詰まっていてそれはそれは美味しいのですが、そこに30年もののモデナ産の濃くて分厚い深みのあるバルサミコ酢が垂らされると、贅沢極まりないとびきりのご馳走となります。

前菜が終わったらその日の気分に合わせてパスタやリゾット、タコのグリルなどに移行するのですが、パスタ好きのわたしはついついパスタを選んでしまいます。オススメはトマト好きならPasta alla Norma、クリーミー好きならこってりゴルゴンゾーラともちもちのニョッキがたまらないGnocchi gorgonzola e nociです。

デザートのティラミスも美味しいと有名ですが、無類のパスタ好きのわたしはデザートにパスタをさらに頼むこともあります(笑)。

話好きのウェルテルはいつもイタリアについていろんなことを教えてくれるし、店内は四六時中イタリアの音楽がかかっていて面白い歌詞を翻訳してくれたりします。パトリシオは魔法のように素晴らしい味付けで、美味しい料理をひとりっきりで作っています。休みの日には家に呼んで一緒にダンスパーティーをしたりする仲なのですが、その時に作ってくれる料理も毎回美味しくて、ヘルシンキの多くのシェフの中でも卓越した才能の持ち主だと思っています。料理、特にレストラン文化という分野では歴史が浅いフィンランドでは、移民の人たちの知恵や技術がおおいに求められていると感じます。レストラン一つ一つが文化に貢献している事実はかなりあると思っています。

文 : 吉田 みのり

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