『11月のポップアップ居酒屋&日本酒バーin ヘルシンキの報告③』

北欧 フィンランドからの手紙

ヘルシンキで行った、ポップアップ居酒屋&酒バー報告の第3回目・最終話です。

①と②でご紹介した、
・牡蠣グラタン
・山芋と胡瓜のゆかり和え(2日目はいぶりがっこクリームチーズ)
・大根含め煮プロシュート
・胡麻豆腐と柿
・きのこあんかけ豆腐
・和風ユッケ
と続きまして、ついにメイン料理の登場です。

【地頭鶏炭火焼き】

私は宮崎出身なのですが、前回「チキン南蛮」をお出ししたらフィンランド人の皆様をはじめ多くのお客様にとっても喜んでもらえたので、ふたたび宮崎の郷土料理を食べてもらいたいと考え、地頭鶏(じとっこ)の炭火焼きをご用意しました。

炭火で焼いた鶏肉は柔らかく、香り豊か。同じく宮崎県産のゆず胡椒を合わせると日本酒もビールも進みます。3年半前、宮崎の県北にいるチキン・キングと私たちがひそかに呼んでいる養鶏をされているKさんの開催するBBQに遊びに行ったら、美味しい鶏肉を炭火の中に投入してお箸でぐるぐると回して「地元の人は皆こうやって食べるんだよ。こうすると美味しいんだ」と教えてもらい、その美味しさに感激しました。

ヘルシンキでも是非このテクニックを使いたいと考え、数週間にわたり奔走して当日を迎えたわけですが、当日の朝レストランに行くと、前々日まで厨房近くの裏庭にあったBBQグリルが撤去されていました。なんたる誤算。というわけで、無謀ですが自宅までグリルを取りに戻り、雪が降るなか火を起こして2時間かけて鶏肉を炭火焼にしました。寒かったし、かなり無理がある計画だったなと反省したりもしたのですが、お客様からは「こんなに美味しい鶏肉を食べたのは久しぶり」「香ばしくて最高だった」とポジティブなフィードバックをいただいたので、とてもありがたかったです。

【牛タンまかないカレー】

前回の〆はうどんカルボナーラでしたので、今回はぜひ美味しいお米をお腹いっぱい食べてもらいたいと考えていました。普段は土鍋でお米を炊いているのですが、レストランの厨房には電気コンロしかなく土鍋が使えませんので、ZOJIRUSHIの炊飯器をドイツから取り寄せました!また、日本の金山のお米を卸している方とヘルシンキのMUJIのお米のイベントで巡り会うことができましたので、ご協力をお願いして美味しいお米をヘルシンキまで送っていただきました。カレーライスはかなり王道なので、何のひねりもないのですが、夫が日本の居酒屋に行った時に食べた「まかないカレー」のおいしさが忘れられず、こんなにカジュアルに最高級品を出してもらえるあの感動を他の人にも届けたい!と言っていたので、美味しい日本のカレーをルゥなしで作ろうという話でまとまりました。牛タンを前日から煮込んで柔らかくし、数種類のスパイス、味噌、バナナなど色々なものを加えて作りました。お客様の中には「日本のカレーライスは本当に美味しいよと聞いていたけど、今日初めて食べたら人生変わったくらい美味しかった」と言ってくださる人もいて、とっても嬉しかったです。

ベジタリアンのお客様用にはきのこたっぷりのヴィーガンカレーを作りました。

【抹茶アフォガートと豆腐チョコレート】

あまり凝ったデザートを作るのは居酒屋っぽくないのですが、甘党が多いフィンランドの人々はデザートへの期待も高いので、今回は使用させてもらったイタリアンレストランへのオマージュでアフォガートの抹茶版を作りました。手作りしたバニラジェラートに、熱い抹茶オレを注ぎジェラートの下には豆腐を使用した生チョコを仕込んでいます。豆腐を使った生チョコは福岡の三原豆腐店で食べた豆腐生チョコが忘れられず、いつか再現できたらと思っていました。

三原豆腐店で食べた、忘れられないデザート

今回はシェフやソムリエ、バーテンダーなどのレストラン関係の友達やその友達をはじめ、フィンランドに住んでいる日本人の方、2年前の居酒屋ポップアップから続けて来てくださっているお客様など、たくさんのお客様がお見えになりました。国籍はフィンランド、日本、リトアニア、米国、メキシコ、英国、ドイツ、ポーランド、ベトナム、韓国、イタリアの方々とさまざまでした。Covid-19感染症の影響でキャパシティの75%のみの使用が許可されているなか、また予防のためにキャンセルのお客様も多くいらっしゃいましたが、無事に終わったことをとても嬉しく思います。

帰り際にきゅっと一杯!

また、仕込みには夫が働くハカニエミのイタリアンレストラン「マドンナ」のキッチンを使わせていただきました。ご協力いただいた方々全てに感謝でいっぱいです!まだまだこれから、どんどん成長していきたいです。


写真・文 : 吉田 みのり

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