うららかな春の休日(後半)

北欧 フィンランドからの手紙

冷たい冬の空気のなかにかすかに春のなめらかな感触が出てきたある日の休日。いつものアンティーク屋さんを冷やかしたあとは、友達がささやかなディナーを作ってくれるとのことでカッリオにある友達の家へ。

友達のオッリはラップランド出身で、地元でよく食べるという「Suolakala(魚の塩漬け)」をアペタイザーに作って待っていてくれました。

だいぶ日が長くなってきて、晩ごはんどきなのに部屋がまだ明るいのがうれしい。春が近づいているのがここでもわかる。

メインはベジタリアンラザニアで、デザートはKorvapuusti(シナモンロール)!オッリの焼くシナモンロールの美味しいこと。ふわふわもちもち。

「いつもたくさんの人に美味しい料理を作っている二人に、今回は僕が料理をしてあげたかったんだ。アジア料理も結構作れる方なんだけど、二人は日ごろから食べているだろうから今回は典型的なフィンランドの家庭料理にしてみたよ」とオッリ。そのやさしさに泣きそうでした…。

オッリはおじいちゃんやおばあちゃんから譲り受けたお皿やグラス、家具を大事に使っていて、会話をしていてもいつもおばあちゃんやおじいちゃんの話になるのが印象的でした。ちなみに上の写真に出てきたワインを注いでくれているのはオッリのガールフレンドのヤニカです。ヤニカもお母さんがラップランド出身で基本的にアンティークの家具や服に囲まれて暮らしているので、二人の代々家族に伝わるアンティーク品にまつわる話を聞くのも楽しかったです。

風の中に優しさが溶け込んでいるかのような、そんな日でした。

文 : 吉田 みのり

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