『春の訪れとルバーブとイチゴのパイのレシピ』

北欧 フィンランドからの手紙

2月の終わりの日のこと。ヘルシンキのとつぜん春がやってきました。
例年より約1ヶ月早く、それはやって来ました。

最近はどんどん太陽の光が強く、暖かくなってきて、冬至のあの真っ暗でどんよりとした日々に比べて、日も長くなってきて鳥の声も聴こえるようになってきたなーと思っていたところでした。

海の上にはまだ氷が張っていて、そこでスケートしたり、犬を連れて散歩したりしている人もいますが、かたやTシャツ一枚でビールが飲めたりもします。

夏の北欧や光の感じが一層明るく、さらに冬とのギャップが大きいので空気に溢れる多幸感も強く、本当にパラダイスのようなのですが、春の始まりもまた、光溢れ、生命の喜びも溢れ、それはそれは気持ちが良いものです。

インスタグラムでは有名なレストランのシェフが、森で野草を見つけて春の訪れに大喜びをしている様子でした。

さて春になると自然に大きく育つ植物の一つにルバーブがあります。

こんな感じで、庭や畑にのっそりと生い茂ります。まるでムーミンに出てくるMårranのよう。手を加えなくてもどんどん大きくなり、わさわさとしているものの、葉の部分は毒性なので食べられません。根の部分だけ食べます。

ルバーブのWikipediaのページを見てみると、面白いことが書いてあります。

「中世ヨーロッパではアジアを横断して運ばれてくるルバーブは高価であり、シナモンやアヘン、サフランのような高価なハーブやスパイスと比べても数倍の値が付いた。1403年から1405年までサマルカンドで大使を務めたルイ・ゴンザレス・デ・クラビホは、報告書の中でルバーブの価値を『サマルカンドに集まるあらゆる商品の中でも最上のものは中国から来ていた。とりわけ絹、サテン、麝香、ルビー、ダイヤモンド、真珠、そしてルバーブ』と伝えている。

高価であったことと、薬剤師からの需要が増えたことにより、ヨーロッパの地でルバーブを栽培する取り組みが行われた。17世紀初頭、ブルガリアのリラ山脈に自生していることが発見された。当時は根として輸入されたルバーブしか知られていなかったため、この発見は驚きを持って受け止められた。『分類学の父』とされる博物学者リンネは、ヨーロッパの最貧国に数えられていた祖国スウェーデンに茶、コーヒー、ココナッツなどの商品作物を導入しようと試みた。その多くは失敗に終わったが、数少ない例外がルバーブであった。晩年のリンネはルバーブの導入を『私の最も誇らしい業績』と呼んだ」(Wikipediaより抜粋)

そんなルバーブを使ったパイのレシピを今日はご紹介します。

<ルバーブといちごのパイの作り方>

生地の材料
・薄力粉 200g
・砂糖 大さじ3
・無塩バター125g(さいの目切り)
・卵黄2個
・冷水大さじ2
・塩ひとつまみ

フィリングの材料
・ルバーブ 約300g
・いちご 約200g
・砂糖 約200g
・コーンスターチ 大さじ3
・レモン汁 20g

作り方
⑴ 薄力粉と砂糖と塩をボウルの中で合わせ混ぜる

⑵ さいの目に切ったバターを冷たいまま加え、①に馴染むようにすり込む

⑶ 小さなボウルに卵黄をとき、冷水をしっかり混ぜ合わせたら、②にゆっくりと流し込み、手で生地をこねる

⑷ 生地を丸め、ラップに包んで冷蔵庫へ。30分休ませる

⑸ 生地を休ませてる間にルバーブを一口大に切り、いちごと砂糖と一緒に小鍋に入れて火にかける。煮立ったところで弱火にし、レモン汁、コーンスターチを加えて約3分後に火からおろす

⑹ 休ませた生地を4等分にし、それぞれ綿棒で伸ばす。生地の真ん中に⑤をのせ、生地のふちを折り込んでパイの形を作る

⑺ 190度に熱したオーブンで、様子を見ながら25〜35分ほど焼く。生地がおいしそうな黄金色になったら出来上がり

ちょっとゆるめのホイップクリームかバニラアイスクリームと食べるのがおすすめ。

ルバーブがなければブルーベリーやラズベリー、桃やりんごでも楽しめます。



写真・文 : 吉田 みのり

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