『春夏秋冬楽しめる、魅力たっぷりのヘルシンキの離れ島「セウラサーリ」』

北欧 フィンランドからの手紙

春から秋にかけてヘルシンキを訪れる人にはいつもオススメしているセウラサーリという離れ島がある。ヘルシンキの中央駅からバスで20分くらいで簡単に行けて、観光地というほど観光客に溢れているわけでもないし、でも野外博物館やレストランもあって半日過ごせてしまう場所。

海があって森があって静寂があって、白樺の若い緑にウットリしていると横からひょっこりフレンドリーなリスが近づいてくる。今まで頭を悩ませていたことが小さいことのように思えてくる。

春に歩いて見つかるのは食べられる野草。これはぜんぶセウラサーリで見つけた野草。薬用効果があるものも多い。そこら中に生えてるけど、車の通りが激しいところと犬の散歩に使われてるような場所は避けて、ひと気のない森で若い芽を摘むのがコツ。

左から時計回りに、ヤナギラン、サンシキスミレ、セイヨウナツユキソウ、イワミツバ、セイヨウイラクサ、セイヨウタンポポ、スイバ、ムラサキベンケイソウ。

島といっても1時間もあればぐるっと一周できてしまう大きさなので、散歩にちょうど良い。森の中を歩いていると、面白いアイディアが湧いてきたり、くちばしがオレンジ色のかわいい鳥や白鳥などに遭遇したり、風が木の葉をすり抜けるときに奏でる美しい音に耳を傾けたりしているうちに、心が清々しい気持ちになってくる。

夏場は海水浴。特にヘルシンキに住み始めた1~3年目の夏は、毎日のようにここに通っては泳いでいた。今でも毎年泳ぎに来たり、浜辺で果実を頬張りながら本を読んだりする。島にはヌーディストビーチがあるサウナもある。

秋は紅葉も楽しめる。冒頭でも触れたように、セウラサーリの見どころの一つは野外博物館。フィンランド各地で使われていた木造様式の建物をそっくり丸ごと移転させてできた野外博物館はもちろん入場無料。散策しながら、小作農の民家や倉庫、風車や教会舟などを鑑賞して、国の歴史に想いを馳せる。むかしの人々の暮らしの様子や知恵が垣間見れる貴重な経験となる。

冬は海に近いこともあり寒い風が吹いたりするのであまりオススメすることはないけど、マイナス20度が何日も続いた後に太陽が顔を見せだしたら、セウラサーリはやっぱり楽しい場所。凍った海の上を歩いて、夏にカヤックをして通った場所をすいすいと歩いたりして不思議な体験ができる。

派手なものは何もないけれど、都会のそばにあるけれどフィンランドの良さがたっぷり詰まった魅力たっぷりの場所。そして夏は、島へ渡る橋の前で売っているアイスクリームを海を見ながら食べるととっても美味しいので、ぜひ!

写真・文 : 吉田 みのり

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