『ベリーのジュースとオレンジのモビール』

北欧 フィンランドからの手紙

フィンランドでは病院で働く人や高齢者、持病を持つ人などから順番にワクチン接種が始まり、夫のお父さんも無事にワクチン接種を受けたため、3ヶ月ぶりに実家へ挨拶に行くことになった。夏に凍らせておいたベリーを解凍して作ったジュースでおもてなししてくれた夫のお母さんは、庭に生えてきた花や、玄関に作った自然素材だけで作ったオレンジのモビールを見せてくれた。

子どもたちが会いに来れなかった期間、寂しかったそうだけど、花を育てたり種を植えたり、モビールを手作りしたりして田舎の寂しい日々を乗り越えてきたそう。

夫のお母さんは人と接するのがあまり好きではないけれど、花や植物をいじるのは大好き。毎年庭にはたくさんの花が咲く。遊びに行くと、かならず庭を案内して、花の名前や育てる時の工夫について教えてくれる。

庭で採れたお花を部屋に飾った後はドライフラワーにして、玄関に飾っている。自然のものだけでできたデコレーション。お金を使わなくても、工夫だけでこんなに素敵になるんだ。この慎ましさが人となりを表しているようで、ほほえましい。

写真・文 : 吉田 みのり

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