『自然の中の生活、都会の中の生活』

北欧 フィンランドからの手紙

東京に住んでた時は野菜は「買うもの」という感覚で、生産者の努力など考える機会は殆どなかった。自分で土を耕して種や苗から育てる日々を経験すると、もうレタスの1枚でも無駄にしたくないし余すことなく美味しく食べたいという気持ちになる。不揃いの野菜もすべて愛おしい。自然と生きるのは楽しい。

しかし自然の中の暮らしは忍耐力も必要。自然のペースはゆっくり、ゆっくり。かと思えばものすごい速さで成長し、大きな実をならす。これは語学力の成長や職業の上達度に似ている気がする。1秒1秒の変化は分かりづらいけど、しばらくがむしゃらにやると、ふと立ち止まった時に大きな変化に気づく。太陽、雨、風、暑い日、寒い日、みんな大切。

植物がゆっくり育つのを心躍らせて見守ったり、太陽の匂いを嗅いだり、雨が降った後のきのこを楽しみに森に出かけたり。田舎の暮らしが好きだけど、しばらくは街で仕事もしたい。どちら

かを選ぶ必要なんてなくて、テクノロジーの恩恵にあずかって、今はできるだけ好きな生き方をしようと2人で決めてから3年が経とうとしている。

幸いなことに夫の実家はヘルシンキから車で約1時間の場所にあり、四方を手つかずの森で囲まれている。森に足を運んで野草を摘んだり、庭で育てた野菜(庭師として長年働いていたお義母さんが私たちがいない間は水やりをしてくれる)を収穫して、それを持ち帰って料理をしたり、自分たちのポップアップレストランで提供したりする暮らしは、あと数年は続けられそうだ。

このバランスが、私たちにはとても心地よい。でも、もう少しレストランで必死に働いてお金を貯めたら、田舎に移住して小さな農園とB&Bをしようと決めている。犬や猫、ヤギやニワトリも飼いたいな。いつかかなえたい、小さな夢。

写真・文 : 吉田 みのり

RELATED ARTICLES

PICK UP