『ヘルシンキで気軽に楽しめる野草④タンポポ』

北欧 フィンランドからの手紙

日本では道端に咲く雑草に近い存在のタンポポ、実は学説によっては60種からそれ以上に分類される、非常に種類が多い植物です。日本だけでも20種類のタンポポがあるそう。

薬用効果もある植物で、天日干ししたものは生薬になることも知られています。セイヨウタンポポの葉は古くからヨーロッパや中東で食用に使われており、サラダにしたりして食べるそう。そういえばローマに行った時、タンポポの葉がたくさん束ねているのを八百屋さんが運んでいるのを見かけたっけ。新鮮でとって美味しそうでした。タンポポの葉はイタリアではタラッサコと呼ばれ、サラダに使ったり、ニンニクとオリーブオイルでソテーにして食べたりするそう。日本のほうれん草の存在に近いかもしれませんね。

タンポポの葉を使い始めた頃の料理。ジャーマンポテトのように炒めたポテトとベーコンと、タンポポの葉を一緒に食べる。苦みがマスタードの代わりとなってとても美味しかったです。

こちらはタンポポの花、ホースラディッシュ(西洋ワサビ)、カボチャの種、ラベンダーマヨネーズの全粒粉うどん和え。

そして出会ったのがタンポポの花の蕾。これを塩漬けにするとケーパーみたいに美味しいことを発見してしまったのです。

そういえばケーパーも花の蕾。

花の蕾は独特の香りと食感がやみつきになる味です。蕗の薹もそう。

「小さな耳たぶ」を意味する名前のパスタ、オレキエッテ(Orecchiette)を久しぶりに作った時に、庭で採れたタンポポの茎と葉、花の蕾を使ったらとっても美味しくて、とびきり春の味に思わず舞い上がってしまったほどです。

セモリナ粉、ぬるま湯、塩だけで作る可愛いオレキエッテ。中華料理にも同じような料理があり、「猫の耳」という意味のマオアールトゥオ(猫耳朵)と呼ばれるそうです。オレッキエッテに相当するタラゴンとバターのソースでシンプルに。山羊チーズとも相性抜群!

トマト味でも楽しめます。こちらは海老とチェリートマトとタンポポの塩漬けのスパゲッティーニ。

去年の夏、Mäntyharju(マントゥハルユ)という土地でケータリングがあり、タンポポの蕾の塩漬けをソースに使ったニョッキ作ったら30人ほどのお客様にとても喜ばれました。国立自然公園などがある自然いっぱいの土地でペンションを営むご夫婦の60歳のお誕生日パーティーでした。

皆さまからお墨付きをもらったので、これからも機会があればどんどん作っていきたいと思います。ぱぁっと明るく輝くお客さまの顔が見たいから。そのためこの時期、森や夫の実家の広大な庭に行くたび、タンポポの蕾を摘むために数時間を要しています(笑)。

写真・文 : 吉田 みのり

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