『フィンランドのピロシキ、リハピーラッカ Lihapiirakka』

インテリア

フィンランドは歴史的、地理的な理由から隣国ロシアと共通した食べ物がいくつもあります。例えば日本人にもお馴染みのロシア料理、ピロシキ。フィンランド版ピロシキの『リハピーラッカ』はフィンランドでも人気のスナックです。リハは肉、ピーラッカは生地に詰め物をした料理のこと。

フィンランドではリハピーラッカを半分に割ってケチャップをつけるのが人気の食べ方です。それだけでなくソーセージなど様々な具を挟む場合もあり、驚異のカロリー量に震えます。

実は何度かフィンランドでリハピーラッカを食べましたが、大きいし油っぽいしで、正直あまり好きではありませんでした。ちゃんとしたカフェやベーカリーのは美味しいと耳にするのですが、仕事は郊外ばかりなのでヘルシンキに行くこともなく…そういう場所で食べたことないんですよね。

そこらへんで買って食べるリハピーラッカは具が少なく、あまり味がしないので、ケチャップやマスタードをつけないと物足りない…。そう、リハピーラッカというのはそれほど美味しくないものだと思い込んでいました。

ピルヨさんに会うまでは。

ピルヨさんのリハピーラッカ

あるときいつも行くお店の近くで小さなテーブルを出して手作りのリハピーラッカを販売しているおばあさんがいました。お馴染みさんらしい人から「彼女のリハピーラッカはとにかく絶品」と言われ、試しに1個買って食べてみると…こ、これは…!

受け取ったリハピーラッカはまだ温かく、かじると外側かりっとしていて、内側はふんわり。たっぷり詰まった具は味がしっかりとついていて美味しい。ぺろっと食べてしまって、あまりの美味しさにUターンしてもう1個買ったほど。それ以来そのおばあさん、ピルヨさんが出店していれば必ず買うようになりました。

なんでも、ピルヨさんはケチャップなどソースなしでも食べられる味付けを心がけているとか。具はひき肉、お米、玉ねぎ、ゆで卵と特別な材料は使っていないと言います。

また食べたいなあと思うのですが、コロナで全然フィンランドに行けないので、ピルヨさんのリハピーラッカを思いながら作ってみました。ピルヨさんならきっとこうだろうと、具の味付けは凝らずにシンプルに塩コショウとオールスパイスだけしています。ピルヨさんには及びませんが、結構おいしく、夫にも大好評でした。

なお、フィンランドサイズよりも少し小さく、食べやすくしています。今回は8個にしましたが、フィンランドサイズを試してみたい方は6個にしてください。それでは作ってみましょう。

<分量>
8個分

<材料>
生地

・40℃くらいのお湯 180cc
・イースト 小さじ1
・サラダ油 大さじ1
・砂糖 10g
・塩 4g
・強力粉 250g


・合い挽き肉 150g
・玉ねぎ 1/2個
・ご飯 70g
・ゆで卵 1個
・塩、コショウ、オールスパイス


<作り方>
生地を作る

1.ボウルにお湯とイーストを入れ、泡立てで良くかき混ぜる。

2.砂糖、塩、サラダ油を入れて、泡立てで良くかき混ぜる。

3.強力粉を3回くらいに分けて加え、泡立てで混ぜ、ある程度混ざったら手で10分くらい捏ねる。

4.ボウルにラップなどでカバーをして、暖かい場所で45分から1時間、2倍くらいになるまで発酵させる。

具を作る

1.生地を発酵させている間に具を作る。玉ねぎをみじん切りにして油を引いたフライパンで炒める。

2.玉ねぎが柔らかくなったら、ひき肉を加え、火が通るまで炒める。火を止める。

3.火を止め(大事なことだから2回言いました)みじん切りにしたゆで卵、ご飯を加え混ぜ合わせる。塩、コショウ、オールスパイスで味付けをする。ややしっかり目に味をつけた方が美味しい。

4.バットに広げて8等分に筋を入れて冷ましておく。

成形して揚げる
1.発酵が終わった生地を軽く捏ね、8等分にして丸める。

2.打ち粉をした台の上で直径12cmくらいに延ばす。中心を厚めに、周囲を薄めにする。

3.生地のやや手前に具を乗せて半分の端に軽く水をつけ、半分に折って指でつまんで口を閉じていく。

4.クッキングペーパーを敷いた上に出来上がったリハピーラッカを並べておく。

5.油を160℃から170℃に温め、両面を色よく揚げる。

<動画>


<ヒント>
ひき肉は赤身が多いよりも、少し脂があるものを選ぶとしっとりします。生地はべとべとして扱いにくいので、成形の時はしっかりと打ち粉をしてください。8個の場合、具は1個につき大さじ2杯くらいです。
揚げ油は温度が高すぎると生地に火が通らず、低すぎると油っぽくなります。菜箸を入れると細かな泡が出るくらいが170℃です。

ところで、お米が具に入っているのに驚かれた方がいるかも知れません。(フィンランドは地理的にお米が栽培しづらいので、おそらく昔は大麦だったのではないかなとは思いますが。)これは肉汁を吸わせて生地がべちゃっとするのを避けるためと思います。

日本のピロシキにはお米ではなく春雨が入っていることが多いですよね。ピロシキに最初に春雨を入れたのは、銀座にある日本一古いロシア料理店ロゴスキーです。ロゴスキーさんのサイトにメニューの歴史が書かれていますので、ご興味があればお読みください。
メニューの歴史1|春雨入りのピロシキ

リハピーラッカにはゆで卵を入れないパターンも多いですが、今回はピルヨさんに倣ってゆで卵入りにしました。茹で卵を入れない場合はその分具を増やしてください。具の味付けはいくらでもアレンジできます。コンソメキューブを砕いて入れたり、ハーブやスパイスを足してもいいでしょう。

なんと言っても揚げたてが美味しいです。できれば温かいうちにお召し上がりください。



三田陽子
北欧ビンテージの買い付けのため年に数回訪れる北欧各国で個性的な北欧料理にはまったのがきっかけになり始めた北欧レシピサイト『北欧のおやつとごはん』。材料は日本で手に入るものを使い、分量も日本サイズに調整して家庭で気軽に作れるように工夫されたレシピが人気。なかなか日本では食べられない北欧の味をお試しください。

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