『フィンランドの人々から学ぶ、ひとつのものを大切に使う習慣②』

北欧 フィンランドからの手紙

フィンランドのデザインが日本でも注目を集めるようになって久しいが、実はデザインの真髄には機能性や合理性がある。人間工学に基づいた使いやすさ。見るものに安心感を与える、タイムレスなデザイン。そして自然と共存する森の民ゆえの、自然の素材を使ったり、自然をモチーフをとしたデザイン。

例えばきのこ借りに使うこのかごは、夫のベンヤミンのお母さんが70年代から使っていたもの。木の皮で作った、丈夫で美しいかごは、きっと永遠に美しい。

このキッチンクロスは、ベンヤミンのおばあちゃんが使っていたもの。刺繍はおばあちゃんのイニシャル。私たちが譲り受けて、2020年の現代でも大活躍している。やっぱり丈夫で、そしていつまでも美しい佇まい。

ベンヤミンのお姉さんが結婚式で着たドレスは、お姉さんの妻のおばあちゃんが結婚式に着ていたもの。1952年のことだそう。約65年の月日を経て、また結婚式という晴れ舞台を踏んだドレスはきっとこの先も誰かの手に渡って美しい笑顔に輝きを与え続けていくだろう。

もの、一つ一つにストーリーがある。一つのものを、とことん愛する。ちょっとした傷やかけも含めて、愛おしい。そんなものとの付き合い方に、心の中にある暖かいものを呼び覚まされるような気がする。

(③に続く 11/30公開予定)



写真・文 : 吉田 みのり

RELATED ARTICLES

PICK UP