番外編 (3) イタリア・アマルフィからの手紙

北欧 フィンランドからの手紙

ソレントからアマルフィを行くバスは、007の撮影などでもよく使われる、海と絶壁の合間を縫うアマルフィ海岸を駆け抜ける。恐怖と秀麗さが断続的に代わる代わるやってきて、遊園地に行ってもメリーゴーランドにさえ恐怖を感じるわたしにとってはそれはそれは恐ろしい体験だった。

約1時間半のバスの旅は忘れられないほど怖かったけど、映画や写真で見て憧れていたこの光景が目の前に現れたときは思わず涙がほろり。

死の恐怖を感じつつ、いざホテルに着いた時の喜びったら!生きているだけでも贅沢なのに、この日はアマルフィ海岸を独り占め。部屋の床も素敵で、床が美しいとここまで優雅な気分になれるのか、とまた新しい発見をした。南イタリアは文化も歴史も豊かで、とっても魅力的だ。世界には美しい場所がまだまだたくさんあるんだなぁ、と感涙してしまったのでした。

アマルフィの美しさは、この世の楽園はここにあったのだと思わされるほど。冬なのに青い空、暖かい太陽、紺碧のティレニア海、断崖絶壁の隣に作られた複雑に入り組んだ街、たわわにレモンがなる木々…とにかく豊かで、壮大で、美しい。マヨルカ焼きのタイルで装飾された鐘楼を持つ大聖堂の目の前で乾杯。オフシーズンなので旅行客があまりなく、閉まっている店も多かった。コロナの影響もあるのだろうか、人がいないリゾート地は物悲しくもあるけど、人生いろいろ。旅は続きます。

文 : 吉田 みのり

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