『ヘルシンキのレストラン紹介 ①Kuurna』

北欧 フィンランドからの手紙

なんと!今回の記事がヘルシンキのレストランについての初めての記事です。

連載45回目にして、今回が初めてとは。自分でも意外。仮にもレストラン業界に所属しているのに。というわけで初回は、大好きなレストランKuurnaに捧げます。

Kuurnaは、フランス料理の手法をベースに旬の北欧の素材が楽しめるレストラン。クルーヌンハカというヘルシンキ大聖堂と港の中間にある美しい歴史的な建物が並ぶ地区にある。海から徒歩10秒くらいの閑静な一角にあるKuurnaは友達と、家族と、職場の仲間と、恋人と、とどのオケージョンでもピッタリと合う、ビストロ風の明るく居心地の良いお店。

先月2回足を運んだ時に食べたもの。

カワメンタイのムースとポルチーニのブリオッシュ

カボチャのラビオリ

白子を使った試作品をヘッドシェフのトムが特別に出してくれたもの。

白子のピュレ、揚げたもの、卵のソース。フィンランドで白子食べたの初めてなので感動!

カワメンタイとポテトパンケーキ

Kuurnaといえば絶対外せないタルタルとステーキ

最近ジュラのワインにハマっていて、見つけたら必ず飲むようにしている。ジュラのワインで残念なものに遭ったことが一度もない!次に国境が開いたら必ず訪れたい地の一つ。

デザート、チーズ

デザートはシェフのアンナが毎週クラシカルな定番と遊び心をバランスよく取った素敵な新作を出してくれて、とっても美しくそしてすこぶる美味しい。

オーナーのトムとラウラのほか、友達が何人も働いているこのお店(私も人手不足だった時に2日間だけ頼まれて働いたことがある)。すごいのは一度始めたらみんななかなか辞めないこと。ヘルシンキのレストランではなかなか珍しく、働いている人たちが居心地が良すぎてみんな何年も働き続いている。その理由の一つはオーナーのトムとラウラの人柄やプロフェッショナリティーにあると思う。

二人はヘルシンキの料理学校・Perhoで出会い、恋に落ちて結婚。シェフとソムリエとしてそれぞれ違うレストランで働きながら経験を積み、2018年の終わりにKuurnaを夫婦で買い取り、念願のオーナーとなった。その後、離婚。でも二人はその後も信頼関係を築き続けていて、今でも大親友。ビジネスパートナーとして、毎日一緒に働いている。先週のトムがお誕生日には二人で素敵なレストランでお祝いをしてラウラが「最高に素晴らしい親友で、ビジネスパートナーの元夫!」と書いていた。他の従業員もみんな、ざっくばらんに素直な意見が言い合える、職場の仲間であり友達であり信頼し合った家族という感じで、風通しが良い雰囲気にこちらもポジティブなエネルギーをもらえるかのよう。

「トムもラウラもとっても良い人だし賢いから、やっぱりそういう人たちばかりが集まるんだよね」と二人をよく知る友達も話していた。そんなKuurnaは、ラウラもトムも他の人もみんな日本が大好きで、私たちのポップアップ居酒屋の常連さんでもある。そんなわけで今週末はスタッフパーティーのため、私たちが料理を作るよう頼まれた。美味しい料理を交換する関係、なんだかとっても不思議で面白い。



写真・文 : 吉田 みのり

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